本サーキュラーでは、国際P&Iグループ(以下「国際グループ」)がこの度CargoXを承認したことをご案内いたします。メンバーの皆様の記憶にも新しいかと思いますが、会報 “Circular”(2019/014号)の中で述べましたように、2010年2月まで、国際グループに加入するすべてのクラブは、「通常の」書面(つまり、従来の容易に移動できる紙媒体)での商取引では生じない責任について、電子(ペーパーレス)商取引システム使用による貨物運送に関する責任をてん補の対象から除外すると明確に規定していました。
2010年2月20日以降、国際グループが承認した電子(ペーパーレス)商取引システム使用による貨物運送に関連して生じる責任であれば、かかる責任は保険てん補対象となります。現在まで、国際グループが承認したシステムは、Electronic Shipping Solutions、Bolero International LtdのRulebook/Operating procedures September 1999、e-titleTM solution、Global Share S.A.のedoxOnline、そしてWAVEの5つですが、今回CargoXがそのリストに仲間入りしました。
CargoXは、オンラインでBlockchain Document Transaction System (BDTS)を提供するシステムです。CargoX は書類の責任の所在に関する、作成・追跡・管理・保管・移動を対象としたブロックチェーン技術に基づいたシステムです。この技術を用いて、運送人・荷送人・荷受人・譲受人・銀行・フォワーダー及びその他関係者は、セントラルサーバーやレジストリを経由せずに、サプライチェーンから暗号化された様々な文書の発行・交換・署名が可能となります。このシステムは、電子船荷証券による積荷の譲渡や裏書を容易にする特別取引条件(ST&C)と呼ばれる法的枠組みに支えられています。CargoXの導入により、紙の船荷証券は不要となりますが、必要に応じ、紙媒体に戻す余地はあります。また、CargoXは国際グループが承認したブロックチェーン技術を利用した3番目のシステムになります。CargoXの詳細については、同社のウェブサイトhttps://cargox.io/platform/Smart-BL/をご覧ください。
CargoXの使用に関する法規文書や諸条件は、2010年2月10日付の特別取引条件(version 1)が関連づけられています。なお、国際グループは同規約を再確認の上、承認しています。
貨物運送に関して、国際グループ・クラブのルールにおいて補てん対象外であるものは、紙の船荷証券と同様に、当然ながら、ESS、Bolero、E-Title、edoxOnline、WAVE及びCargoXについてもその適用が継続されます。例えば、運送契約に定められた港または場所以外での貨物の荷揚げ、実際より後のまたは先の日付が記入された電子文書/記録の発行・作成、譲渡可能な電子文書/記録の提示なしでの積荷引き渡しによって生じた責任等、承認済みの電子(ペーパーレス)商取引システムの使用によるこのような貨物の譲渡は、(国際グループの)ルールに準拠していないものと見なされ、てん補から除外されます。
これらの電子(ペーパーレス)商取引システムを使用しているメンバーの皆様の中に、(複数である場合も含み)システムの使用における、法的または実用的な利点や問題点等がありましたら、品質向上のため、ノースへお聞かせください。
なお、国際グループのすべてのクラブが、同様の会報“Circulars”を発行しています。
ADRIAN DURKIN
DIRECTOR (CLAIMS)
The North of England P&I Association Limited / North of England P&I DAC